パク・ソルメ『影犬は時間の約束を破らない』(斎藤真理子訳/河出書房新社)を読み終えました。
人類が冬眠できるようになり、冬眠時の付き添い役「ガイド」の資格認定制度もある世界で、実在の街を舞台にした連作短編集。日本語版のために書き下ろされた旭川が舞台の回もあります。
影犬は疲れて均衡を失ってしまった者の前に現れ、“断固として散歩を要求”し、共に歩いてくれます。
冬眠も影犬も、疲弊した人が、恋愛や親子の関係ではない他者に、直接触れあわないが身体の制御をゆだねられる支援なのです。
延々と続く、過酷な生の羽休め。息継ぎのような物語でした。
本書はいただきものです。
8 months ago