やっぱり三人称を使いこなす必要がある。同じ三人称でも『模倣犯』と『異常』では読み味がまるで違う。『模倣犯』には隙がなかった。悲劇だから悲しいねと全員が悲しんでいた。それをひたすら淡々と綴っていてどこにも余白がないから緩急がなく従ってリズムも生まれない。それは物語の構成とは別にやはり読み味として退屈だった。読むことそのものに面白味や興奮が宿る文章ではなかった。対して『異常』は三人称の冷徹な視点を採用していながらどうしてここまで人物の内面を深く掘り下げることができるのかと舌を巻いた。
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