とっくに捨てたと思っていた古いメールのデータがクラウドの片隅に残っていた。ふと村上春樹『1973年のピンボール』を思い出す。
主人公が古いピンボールマシーンを諦めきれないでいる。そしてやっとのことで巡り合い、再会することで過去のことだと気持ちの区切りを付けることかできる。
主人公の「もう何もかも終わったことじゃないか」という台詞は、自分に言い聞かせるものだし、何も終わっていたいことを主人公自身が一番よく知っている。
古いメールを読み返しながら「もう何もかも終わったことじゃないか」と自分に言い聞かせる。喪ったものはもう戻らない。そのことを受けいられるまであとどれくらい時間が必要なんだろう。
7 days ago