先週は松江にいました。石川淳「諸国畸人伝」から小林如泥の項末尾付近。
「湖畔の、このあたりに立って、宍道湖に於て見るべきものはただ一つしか無い。壮麗なる落日のけしきである。そして、これのみが決して見のがすことのできない宍道湖の自然である。雲はあかあかと燃え、日輪は大きく隈もなくかがやき、太いするどい光の束をはなって、やがて薄墨をながしかける空のかなたに、烈火を吹きあげ、炎のままに水に沈んで行く。おどろくべき太陽のエネルギーである。それが水に沈むまでの時間を、ひとは立ちながらに堪えなくてはならない。」
16 days ago