SFマガジン2024.02 間宮改衣「ここはすべての夜明けまえ」
"融合手術"を受けて不老の機械の肉体を得た女が、終わった世界でつらつらと語り続ける半生記。愛されないこと、愛されたいと願うこと、誰かの愛情を搾取すること。痛みに満ちた生を送った存在は、痛みから解放された肉体で何を思うのか。
身体性というSF的テーマを通じて私小説的純文学を志向したような印象を受ける作品。愛らしい25歳の姿のまま時を止めたことで、最後まで愛する立場に立てなかったことが彼女の悲劇だったのかもしれないなと。どこか非人間的な達観が漂うひらがなの口語文体が独特の離人感を醸し出していて引き込まれた。
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