「ナラ・レポート」(津島佑子著/人文書院)、読了。幼い頃に母を失亡くし、異なる家庭があった父によって父方の祖母に預けられ、奈良で育てられた"森生"から始まる物語。気付けば森生の物語はモリオと母の連綿と繋がる、どこか幻想的な物語に成っていく。手触りは大分違えど、三島の豊饒の海の一連の物語を思い出しながら、津島佑子が描写する別れと孤独の痛みに、刺し貫かれていくような心地だった。陳腐な感想かもしれないけれど、容易く顧みられなくなる名前のない「母と子」の関係性に徹底して焦点を合わせ続ける津島佑子もまた、孤独で、そしてその孤独に向き合い続け、描き続けた女性なんだな、と改めて深く感じた。
#読了
18 days ago