「ペドロ・パラモ」(フアン・ルルフォ著 杉山晃・増田義郎訳/岩波文庫)、読了。この作家は小説家としては、随分と寡作なのだという。フアン・ルルフォの生い立ちを知ると、この作品に満ちる「密やかなざわめき」みたいなものの正体が薄っすらと分かるようか気がした。きっといつでも傍らに命の終わりと、魂の囁きを感じていたんだろう。きっとこれは訳も良いのだろうけれど、無駄がなく修飾が少ない、正に「シンプル」ながらも美しい文章で紡がれるのは全て過去のことなのに、とても臨場感があったと同時に不思議な浮遊感も覚えた。「燃える平原」も読みたいし、この「ペドロ・パラモ」も背景の歴史をもっと学んだ上で、再読したい。
#読了
3 months ago