高校時代の友人の訃報を聞く。文芸部の部長だったMくんは読書会の図書にフィリップ・K・ディックの「逆回りの世界」を指定した。子どもの頃ジュブナイルで読んでいた「にせもの」はディックと認識されていなかったので、初めて知る作家だと思っていたが、死者が蘇り時間が逆向きになる話なんてと、禄に読みもせず読書会も欠席した。サンリオでディックの全巻揃える頃になるのは大学生になってからだった。現役では大学を受けなかったというMくんは一浪してまた大学で一緒になったが高校の友人で一度集まったときに会ったくらいだった。自分が初めてヨーロッパに行く直前、最後に偶然に東京の書店で会った彼は「類推の山」を餞別にくれた。
7 months ago