『椿三十郎』の導入の早さや96分で互いの読み合いを見せる妙もさることながら、敵があまり悪く見えないのが面白い。
藩政を壟断していることは台詞で語られるだけで抽象的だし、仲代達矢もやっぱり台詞で悪役っぽいことを言うだけで具体的な悪事を見せない。悪役たちは役者ぢからで立っている。しかも人殺してないですよね。死体を量産しているのは圧倒的に三船の方で。
だからこそ抜き身の刀のような三船と殺すことへの後悔や戒めが生きてくるわけで、相手を本当に血も涙もなく見せてしまうと殺してもまあええかとなってしまう。
めんどくさいテーマを示しつつ、娯楽時代劇に見せかけているのはとんでもないことなんでないかしら。
4 days ago