下関が歴史の舞台に華々しく登場するのは、源平最後の合戦として知られる関門海峡の壇ノ浦の戦いです。1185年3月24日両軍約四千艘ともいわれる軍船が関門海峡に集結しました。壇ノ浦は平氏にとって守らなければならない生命線でしたが、源氏の指揮官は軍事の天才源義経。義経は当日の緩やかな潮の流れを計算に入れて奇襲作戦を講じ、平氏の軍船の担い手水夫・梶取を射殺すことを部下に命じました。水軍力で優位だった平氏ですが、義経の智謀により陸戦を得意とする源氏に敗れたのです。 壇ノ浦の戦いはJR下関駅からバスで約12分、御裳川公園に行くと、しのぶことができます（写真）。　#下関　#壇ノ浦の戦い　#源義経　#関門海峡

飛鳥井雅道『中江兆民』（吉川弘文館）を読み終えました。『東洋のルソー」と呼ばれ、自由民権運動に大きな影響を与えた中江兆民の本格的な評伝。 兆民は若い頃長崎で同郷（土佐藩）の坂本龍馬と親しく言葉を交わしたことがありました。龍馬は自由を求め続けた兆民にとって大きな存在でした。兆民はフランスに留学しフランス語塾を開きました。兆民の塾でフランス語を学んだのが岩手出身の政治家・原敬です。フランス語力は原のバックボーンとなり、パリで外交官生活を送るいしずえになりました。恩義を感じた原は兆民の葬儀に出席しています（写真は盛岡大慈寺にある原敬の墓）。　#飛鳥井雅道　#中江兆民　#吉川弘文館　#坂本龍馬　#原敬

今日は盛岡駅近くで、久保健一さん（読売新聞元カイロ支局長、中東ジャーナリスト）と歓談後、岩手県立図書館で開催された講演会「三陸に沈んだ軍艦高雄～田野畑に眠る戊辰戦争秘話～」に参加。 戊辰戦争末期（1869年3月）に起こった旧幕府軍と新政府軍との戦い＝宮古湾海戦に関し、私は著書（『それぞれの戊辰戦争』、『盛岡藩』、共に現代書館）で紹介していますが、新政府軍との戦いに敗れ田野畑村沖に沈んだ軍艦高雄については詳しく知らなかったので、中田達也氏（神戸大学准教授）の講演はとても興味深かったです。海を切り口にした歴史もなかなか面白い、と実感しました。　#岩手県立図書館　#戊辰戦争　#宮古湾海戦　#田野畑村

ちいさな美術館の学芸員『学芸員が教える日本美術が楽しくなる話』（産業編集センター）を読み終えました。西洋美術関連本と比較して日本美術関連本が少ない、と感じてきた著者による格好の日本美術ガイドブックです。 著者は最近美大の専任教員に就任したそうですが、きっと教えかたもうまいのでしょう。こなれたわかりやすい文章、興味深い構成なのでとっつきやすいです。 「日本美術とは何か」「超ざっくり日本美術史」「日本美術のスター作家たち」などに関してていねいに解説していて、楽しみながら日本美術を学ぶことができます。おすすめです。　#ちいさな美術館の学芸員　#学芸員が教える日本美術が楽しくなる話　#産業編集センター

近く朝ドラ「ばけばけ」が始まりますが、山口県下関市は小泉八雲ゆかりの地です。安徳天皇を祀る赤間神宮にある宝物殿には「安徳天皇縁起絵図」が所蔵されています。縁起絵図には安徳天皇の生涯が描かれていて七、八幅目は壇ノ浦の戦い。数多くの軍船が描かれています。平氏が赤の旗を翻し、源氏が白の旗を翻しており、紅白歌合戦の原点ともいえます。 源氏との戦いに敗れた平氏をモチーフに小説化したのが小泉八雲の「耳なし芳一のはなし」で赤間神宮が登場します。赤間神宮には、平氏一族の墓も多く存在していて、多くの参拝客を集めています。　#ばけばけ　#小泉八雲　#下関　#赤間神宮　#耳なし芳一のはなし　#壇ノ浦　#安徳天皇

【4153】 #オードリー・ヘプバーン 「人生で最も大切にすべきものは、お互いの存在です」 #名言 #格言 #警句 #言葉 #生涯 #学習 #人生 #教訓 #思考 #変革 #知識 #知恵 #歴史 #物語

ジョージ・キューカー監督の「マイ・フェア・レデイ」（1964年）を観ました。ロンドンの下町で花を売る21歳のイライザ（オードリー・ヘプバーン）。下品な下町言葉を話すイライザと遭遇した言語学者ヒギンス教授（レックス・ハリソン）は上品な英語を話す貴婦人にするために、イライザを預かることに。イライザは猛特訓の末、上流階級が集う舞踏会で人々を魅了しますがー。 とても心温まるストーリーです。下品な花売り娘から上品なお嬢さんに変貌するヘプバーンの演技力はさすが。心に深く刻まれるュージカルの最高傑作。　#ジョージ・キューカー　#マイ・フェア・レディ　#オードリー・ヘプバーン　#レックス・ハリソン　#ロンドン

加治将一『龍馬の黒幕　明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン』（祥伝社文庫）。幕末期に活躍した坂本龍馬は貿易商社亀山社中で結び付いたイギリスの武器商人グラバーの意志で動いていて、世界に約400万人のメンバーがいる秘密結社「フリーメーソン」とも深い関わりがあったー。 説得力があり、とても面白かったので再読了。確かに土佐藩の下級武士（郷士）にすぎない龍馬が薩長同盟を実現したりできたのは、バックに大きな組織があったいたのではないか、と感じる面があります（写真は長崎市亀山社中記念館）。　#加治将一　#龍馬の黒幕　#祥伝社文庫　#グラバー　#フリーメーソン　#長崎　#亀山社中　#薩長同盟　#坂本龍馬

南部英磨は1856 年9月11 日盛岡藩主南部利剛の次男として誕生。幼少より学問に優れ1870年8月華頂宮博経親王に随って米国に留学しました。盛岡藩の筆頭家老を務めた東中務は英磨を留学させることで戊辰戦争で賊藩となった盛岡藩の汚名返上を図ったのです。大隈重信の養嗣子となった英磨は早稲田大学の前身東京専門学校で初代校長に就任。英磨は金銭トラブルに巻き込まれた事で1902年大隈家から離縁されました。 英磨は南部家に復籍し盛岡に戻って後、私立作人館中学校の校長に就任したほか、盛岡高等農林専門学校等で講師を務めました（写真は盛岡市にある南部英磨の墓）。　#南部英磨　#盛岡藩　#早稲田大学　#大隈重信

オーソン・ウェルズ主演・監督の「市民ケーン」（「1941年）を観ました。37の新聞社、2つのラジオ局を傘下に収めたチャールズ・フォスター・ケーン（モデルあり）の生涯を描いた映画。ケーンを知る人々をインタビューすることでケーンの人物像を浮き彫りにするという斬新な手法は新鮮な感じがしました。 メディア王として富を築きながら周囲とは打ち解けることがない。そんな孤独な内面を25歳のオーソン・ウェルズが好演しています。キャロル・リード監督の「第三の男」でウェルズと共演するジョセフ・コットンが友人役として出演、やはり存在感がありました。　#オーソン・ウェルズ　#市民ケーン　#ジョセフ・コットン　#第三の男

新藤兼人『シナリオ人生』（岩波新書）を読み終えました。脚本家・映画監督として活躍した新藤兼人（1912―2012）の自伝。広島に生まれて映画界に入り、小津安二郎、溝口健二、内田吐夢らとの出会いを生き生きと回想しています。「原爆の子」（1952年、主演・乙羽信子）を監督したのは広島生まれが影響しています。 著者は研鑽を重ねることで、ドラマは発端、葛藤、終結という三段階で構成されると気が付きます。人生もまたそういうものではないか、と。日本映画史に関する貴重な証言でもあり、心が揺さぶられました。　#新藤兼人　#シナリオ人生　#岩波新書　#小津安二郎　#溝口健二　#内田吐夢　#原爆の子　#乙羽信子

熊本市のシンボルといえば熊本城(写真、2019年夏）で、筑紫平野に次ぐ九州で2番目に広い熊本平野の北部、茶臼山の上に築城されています。城の範囲は丘陵全域にわたる98ヘクタール、周辺距離は5.2キロに及びます。今日見ることができる熊本城は加藤清正が築城し、その後周辺地域（肥後）を支配した細川氏により増築・修理されました。加藤清正の築城に関しては、豊臣秀吉の朝鮮侵略（文禄・慶長の役）が終了した1599年に着工し、1603年に竣工したという説が有力です。 とはいえ2016年4月16日に熊本を襲った大地震による損壊がひどく、修復には相当な時間がかかりそうです。　#熊本　#熊本城　#加藤清正　#細川氏

浅見雅男『明治天皇はシャンペンがお好き』（文春新書）を読み終えました。明治天皇、石川啄木、牧野富太郎、芥川龍之介ら著名人の知られざるエピソードを興味深く紹介しています。 たとえば正岡子規。熱心なプレイヤーだった子規がベースボールを「野球」と訳したと信じられてきましたが、この説は誤り。幼い頃「升（のぼる）」と呼ばれてことにちなみ、漢字にあてはめて「野・球」とし号として使用したことが誤って伝えられたそうです。 私は子規の故郷松山を訪れたことがありますが、松山駅前には子規の句碑（写真）が建っています。春や昔　十五万石の城下哉　#浅見雅男　#明治天皇はシャンペンがお好き　#文春新書　#正岡子規　#松山

今日は盛岡中央劇場での「午前十時の映画祭」。スティーブン・スピルバーグ監督の「E.Т.」（1982年）を観ました。以前から観たいと思いながらも、観ていなかった映画をやっと観ました。評判通り、とても面白くて楽しめました。 10歳の少年エリオット（ヘンリー・トーマス）はある日、異星人＝E.Т.と出会います。次第に両者にはコミュニケーションが成立するようになり、親しくなってゆくのですがー。小さな異星人と少年との心の交流を描いた心温まるSFファンタジーです。自転車が空を飛ぶシーンが印象深く、心に深く刻まれました。　#盛岡中央劇場　#午前十時の映画祭　#スピルバーグ　#E.Т.　#ヘンリー・トーマス

友松夕香『グローバル格差を生きる人びとー「国際協力」のディストピア』（岩波新書）を読み終えました。著者は長くガーナなど西アフリカで国際協力に携わってきた人（法政大学教授、経済人類学）。本書はその体験をもとに、西アフリカと先進国との格差について考察しています。 デジタル技術の進展によって国境を越えて人びとが結び付く一方で、世界における経済と知識生産の圧倒的な不均衡が相互理解を阻んでいる、という現実の深刻さが伝わってきます。国際協力の枠組みを再構築する必要がある、と著者は説くのですが、その道は平坦ではないと思いました。　#友松夕香　#グローバル格差を生きる人びと　#岩波新書　#ガーナ　#経済人類学

今日は花巻市のなはんプラザで宮沢賢治学会イーハトーブセンターの総会があり、全国から90人近くが集まって無事に終了しました。 総会終了後はマルカンビル大食堂に会場を移して懇親会が開催され、楽しく過ごしました。やはり、宮沢賢治好きの人とは話が合うな、と改めて思いました。　#花巻　#なはんプラザ　#宮沢賢治学会　#マルカン

盛岡生まれ相米慎二監督の「あ、春」（1998年）を観ました。妻の母（藤村志保）、妻（斉藤由貴）、息子と暮らす主人公（佐藤幸市）は平凡なサラリーマン。会社の業績は悪く倒産寸前。そんな日常に、5歳の頃別れた父（山崎努）が突然現われ、一緒に暮らすことに。わがままな父に翻弄された主人公は耐えきれず、「出て行け」と追い払うのですがー。 哀歓あふれる人間ドラマです。さんざん迷惑をかけられながらも、家族は死が近づいてくる父にいつしか愛情を感じはじめるのでした。かつての妻（富司純子）と山崎努との掛け合いがとても面白く楽しめました。　#相米慎二　#あ、春　#佐藤浩市　#斉藤由貴　#山崎努　#藤村志保　#富司純子

野添文彬『大田昌秀―沖縄の苦闘を体現した学者政治家』（中公新書）を読み終えました。沖縄県知事を務めた大田昌秀（1925―2017）の生涯を描いた初めての本格的な伝記です。終戦間際の沖縄戦で死線をさまよい、戦争の悲惨さを身をもって体験した大田は苦学して研究者の道を歩み、100冊以上もの本を出しながら政治家としても活躍しました。 大田昌秀はまさに、沖縄の現代史と共にいきた、といってよいでしょう。力作評伝です。おすすめ。　#野添文彬　#大田昌秀　#中公新書　#沖縄　#沖縄戦　#沖縄県知事

私の新刊『高野長英と吉田松陰』（日本地域社会研究所、7月刊行）が本日の河北新報読書欄（東北の本棚）で、大きく紹介されました。 江戸時代後期から幕末にかけて活躍した奥州水沢出身の蘭学者・高野長英（1804―50年）と長州藩の指導者・吉田松陰（1830―59年）。本書は2人の生涯をたどりながら、思想の共通点や、書物を通した接点を考察しているー。 簡潔で的を射た内容の濃い紹介文です。河北新報さん、どうもありがとうございました。webで本文を読むことができます（河北新報のホームページ参照）。　#河北新報　#高野長英と吉田松陰　#佐藤竜一　#日本地域社会研究所　#幕末　#奥州　#長州藩　#東北の本棚

shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0461-f/　今日は宮沢賢治の命日。賢治は1933年9月21日、肺結核により満37歳で亡くなりました。晩年の東北砕石工場時代に焦点を当てたのが私の著書『宮澤賢治　あるサラリーマンの生と死』（集英社新書）です。紙版は品切れ・重版未定ですが、電子書籍で読むことができます。関心のある方はどうぞお読み下さい。 なお、賢治に関して私は『宮沢賢治　出会いの宇宙』（コールサック社）も書いていて、『コミック版世界の伝記　宮沢賢治』（ポプラ社、漫画：小林可多入）の監修もしています。ポプラ社の本は大人が読んでも十分に楽しめます。 #宮沢賢治　#佐藤竜一

入交好脩『武市半平太　ある草莽の実像』（中公新書）を読み終えました。幕末期。坂本龍馬と親しく、土佐勤王党を結成したことで知られる武市半平太の生涯を克明に紹介。公武合体派である土佐藩主山内容堂の怒りを買い、切腹させられますが、愚直に生きた人柄には惹かれるものがあります。龍馬は暗殺に走る半平太の急進的な方向性についていけず、訣別して脱藩しました。 龍馬の紹介で、京都で勝海舟のボディーガードをつとめた岡田以蔵は半平太の弟子でした。司馬遼太郎が『人斬り以蔵』で活写しています。　#入交好脩　#武市半平太　#中公新書　#土佐勤王党　#山内容堂　#勝海舟　#岡田以蔵　#司馬遼太郎　#高知　#京都　#公武合体

都鳥伸也監督のドキュメンタリー「廃墟と化した鉄の町　釜石艦砲射撃の記録」（2023年、ロングラン・映像メディア事業部）を観ました。釜石は日本における近代製鉄発祥の地で、橋野高炉跡（写真）はユネスコの世界文化遺産に指定されています。 太平洋戦争では重要拠点とみなされ、1945年7月14日・8月9日の2回、アメリカ・イギリス軍による艦砲射撃を受け市街地は壊滅的な打撃。千人に及ぶ人々が亡くなりました。この映画は生存者にインタビューした貴重な記録で、戦争の悲惨さがリアルに伝わってきます。　#都鳥伸也　#廃墟と化した鉄の町　#釜石　#艦砲射撃　#橋野高炉　#世界文化遺産　#ロングラン・映像メディア事業部

清水純子『映画と文藝　日本の文豪が表象する映像世界』（彩流社）を読み終えました。芥川龍之介『藪の中』、江戸川乱歩『陰獣』、谷崎潤一郎『卍』『鍵』、川端康成『眠れる美女』、三島由紀夫『午後の曳航』など日本のほか海外でも映画化された日本文学の映像シーンを克明に紹介していて読み応えがありました。 私は江戸川乱歩が好きで、立教大学にある旧江戸川乱歩邸（大衆文化研究センター、写真）には出かけたことがあります。興味深い展示内容でした。また、行きたい。　#清水純子　#映画と文藝　#彩流社　#芥川龍之介　#江戸川乱歩　#谷崎潤一郎　#川端康成　#三島由紀夫　#立教大学　#旧江戸川乱歩邸　#大衆文化研究センター

盛岡の高校のお話です。楽しい記事でした！記者は長野剛さん。 プレゼント機能で9月20日 19:34まで全文読めます。ぜひぜひ。 生徒を理科好きにする「粘菌先生」　古希で衰えぬ熱意、教え子刺激：朝日新聞 digital.asahi.com/articles/AST...

小樽にはかつて北海道随一の金融街があり、多くの銀行建築が建てられました。象徴といえるのが金融資料館（日本銀行旧小樽支店）です。小樽支店は東京駅の建築家として知られる辰野金吾と弟子である長野宇平治が設計し、1912年7月に完成しました。ルネサンス様式を採用した外観で、5つのドームを配置した屋根に特徴があります。外壁はレンガの表面にモルタルを塗り、石造り風に仕上げています。 建物の中にはアイヌの守り神であるフクロウをモチーフにした塑像が内壁に12体、外壁に18体あり、厳かな雰囲気を漂わせています。名建築です。　#小樽　#金融資料館　#辰野金吾　#長野宇平治　#日本銀行小樽支店　#アイヌ　#東京駅

マイケル・チミノ監督の「ディア・ハンター」（1978年）を観ました。ピッツバーグ近郊で働くマイク（ロバート・デ・ニーロ）、ニック（クリストファー・ウォーケン）、スティーブンの3人がそろってベトナム戦争に従軍。マイクは帰郷しますがかつての陽気さが失われ、スティーブンは下半身不随に。ニックがベトナムに残っていると知り、マイクは会いに行くのですがー。 戦争によって人間性が破壊されていく過程が見事に表現された名画。デ・ニーロとウォーケンのロシアンルーレットシーンが秀逸。ニックの恋人役メリル・ストリープは存在感がありました。　#マイケル・チミノ　#ディア・ハンター　#ベトナム戦争　#ロバート・デ・ニーロ

松岡司『中岡慎太郎　龍馬と散った男の生涯』（新人物往来社）を読み終えました。坂本龍馬と共に薩摩藩と長州藩を結び付け（薩長同盟）、龍馬と共に京都の近江屋で暗殺された中岡慎太郎の生涯を活写。 龍馬と比べると地味な印象がある慎太郎ですが、なかなか優れた人物だったようです。著者は地元高知出身だけに史料を丹念に調べた上で書き上げていて、慎太郎に対する敬愛の念が行間から伝わってきます。高知駅のすぐ近くには武市半平太（左）、坂本龍馬（中央）、中岡慎太郎（右）の銅像が建っていて、この三人が地元で愛されているのがわかります。　#松岡司　#中岡慎太郎　#坂本龍馬　#薩長同盟　#武井半平太　#高知　#京都　#近江屋

YouTube更新しました。 岡本かの子 作『秋の七草に添へて』 youtu.be/DDnC24Urg7s まだまだ蒸し暑いですが、秋のお話。 小さな秋を探しにお散歩に出かけたくなる作品です。 #朗読 #読書

この記事。ぼくも友達が少ないので、めちゃくちゃ共感した。何年か前、ツイッターで「今年の目標は友達を作ること」を書いて、結局、うまくいかなかった。 記事の前半の友達を作る努力が空回りする描写も面白いし、後半では中高年男性の交友男性の乏しさについてデータも示されてる。いい記事だなあと思っていたのだが、ツイッターで記事の感想を読んだら「冗長」「エモい」「キモい記事」等、めちゃくちゃに叩かれていた。 ただ、この記事について賛否が割れる理由もわかる。続く。 ということで、プレゼント記事にしてみた。15日午前10時まで。 digital.asahi.com/articles/AST...

小樽は函館に次いで古くから開かれた港町です。小樽といえば運河。1923年に約9年の歳月をかけて完成しました。「小樽市総合博物館　運河館」は小樽の歴史と自然を総合的に紹介。小樽は明治時代以前にはニシン漁業で栄えた港町でした。アイヌ文化の影響を大きく受けるとともに、北海道と本州を結ぶ北前船が寄港しました。運河館はニシン漁業、北前船に関する資料や古写真、古地図によって小樽の街の変遷を克明に伝えています。 運河館にある「旧小樽倉庫」（写真）は1893年に建てられたもので、加賀（石川県）の商人・西出右衛門、西谷庄八が営業用倉庫として使用、穀物や海産物などが保管されています。　#小樽　#運河　#北前船

松本動監督の「星に語りて」（2019年）を観ました。「きょうされん40周年記念映画」。「きょうされん」は成人期の障碍者を支える全国組織。2011年3月11日に起こった東日本大震災で障碍者と支援者がどのように交流したかを描いた劇映画です。陸前高田と南相馬が舞台。 私は陸前高田生まれで、大震災では多くの親戚知人をなくしましたが、障碍者の状況がどうだったのか。この映画で初めて知りました。大震災での障碍者の死亡率は健常者のおよそ2倍。支援も当初は障碍者になかなかゆきわたらなかったようです。そうした現実を多くの人に知ってほしいと思いました。　#松本動　#東日本大震災　#きょうされん　#陸前高田　#南相馬

益田朋幸『光の美術　モザイク』（岩波新書）を読み終えました。著者はヨーロッパ中世、ビザンティン美術の研究者。石やガラスのかけらを天井や壁などに埋めて造られた絵画をモザイクといいますが、本書には歴史を物語るモザイクが100点以上カラーで収録されています。 古代ギリシアから近代にいたる変遷とともに、モザイクという美術技法が紹介されているのですが、一点一点がとても美しい。美術を観る楽しさを堪能しました。良書です。　#益田朋幸　#光の美術　#モザイク　#岩波新書　#ビザンティン美術　#ヨーロッパ中世　#ギリシア

多木浩二・飯島洋一・五十嵐太郎編『現代建築家99』（新書館）。エッフェル、ガウディ、辰野金吾、伊東忠太、丹下健三、瀬島和代など世界的な建築家99人の生涯や建築を簡潔に紹介。人物に焦点を当てた建築史になっていてとても面白く読み終えました。 私はスペインに出かけたことがあり、バルセロナでガウディの建造物を観たことがあります。本書で紹介しているサグラダファミリア教会は近くで観ると迫力があり、カサ・ミラは風情があったことを思い出しました。　#多木浩二　#飯島洋一　#五十嵐太郎　#現代建築家99　#新書館　#ガウディ　#スペイン　#バルセロナ　#エッフェル　#辰野金吾　#伊東忠太　#丹下健三　#妹島和代

小田ひで次原作、山本二三監督のアニメ「ミヨリの森」（2007年）を観ました。都会の小学校で友達がいなかったミヨリは両親から離れ、田舎の祖父母の家で暮らしはじめます。森の精霊たちと仲良しになり、新しい友達ができるのですが、ダムの建設計画により「ミヨリ森」に危険が迫ることにー。 とても楽しいアニメ、ミヨリの声（蒼井優）がとてもよいです。作品を面白くしているのは脚本の力。相米慎二監督（盛岡生まれ）の「お引越し」や細田守監督の「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」を担当した岩手出身の奥寺佐渡子。「国宝」をヒットさせた奥寺の脚本には才能を感じます。　#ミヨリの森　#奥寺佐渡子　#山本二三　#蒼井優

小樽は文学者と縁が深い街です。小樽文学館（写真）では啄木のほか小樽ゆかりの文学者について展示しています。小樽を代表する文学者といえば、詩人・小説家として活躍した伊藤整でしょう。文学館には小樽高等商業学校時代の詩稿ノート、『若い詩人の肖像』の構想メモ、『日本文壇史』の原稿や執筆当時の書斎が再現されています。 プロレタリア文学の旗手小林多喜二も小樽ゆかりの作家です。文学館には小樽高商在学中に描いた水彩画、代表作『蟹工船』が掲載された『戦旗』などが展示されています。小樽は詩人小熊秀雄、宮沢賢治と接点があった吉田一穂なども輩出しています。　#小樽文学館　#伊藤整　#小林多喜二　#小熊秀雄　#吉田一穂

井上亮『宮内庁長官　象徴天皇の盾として』（講談社現代新書）を読み終えました。著者は日本経済新聞記者として20年近く皇室を取材してきたジャーナリスト。日本国憲法により象徴とされた天皇ですが、2025年現在宮内庁長官に就任した人は10人。宮内庁長官は天皇の戦争責任論や政治的圧力から皇室を守る役割を果たしてきましたが、なかなか実体がつかめませんでした。 本書は初めて宮内庁長官に焦点を当てた本です。天皇家の肉声が伝わってきます。皇位継承問題等、天皇家をめぐっては問題が山積しています。本書は天皇の存在に関する、格好のガイドブックだと思いました。　#井上亮　#宮内庁長官　#講談社現代新書　#天皇制　#皇室

今日は盛岡中央劇場での「午前十時の映画祭」。トニー・スコット監督の「トップガン」（1986年）を観ました。マーヴェリック（トム・クルーズ）は腕利きのパイロットで相棒のグース（アンソニー・エドワーズ）と共にミラマー基地エリート航空戦訓練学校（通称トップガン）に派遣されますが、女性教官チャーリー（ケリー・マクギリス）に一目ぼれしてしまいー。 ドッグファイト（空中戦）の迫力がすごかった。親友を失う役のトム・クルーズの表情がとても豊か。相手役のケリー・マクギリスの演技もなかなかでした。海軍を舞台にした青春映画として楽しめました。　#トニー・スコット　#トップガン　#トム・クルーズ　#ケリー・マクギリス

文藝春秋編『リーダーの言葉力』（文春新書）を読み終えました。井上ひさし、吉本隆明、司馬遼太郎、水木しげる等リーダーの残した言葉を興味深く紹介。いずれも含蓄があり示唆に富んでいます。 中でも心に響いたのがやなせたかしの言葉。やなせが主宰した『詩とメルヘン』編集部で働いた梯久美子に対して「天才であるより、いい人であるほうがずっといい」と。5歳で父を亡くし、たった一人の弟を戦争でなくし、下積みが長かったやなせたかしは心が広く、優しい人だったようです。一度お会いしてみたかった。　#文藝春秋　#リーダーの言葉力　#文春新書　#やなせたかし　#梯久美子　#井上ひさし　#吉本隆明　#司馬遼太郎　#水木しげる

小樽は石川啄木ゆかりの地です。小樽駅近くにある三角市場の入口には啄木の歌碑（写真）があり、こう刻まれています。 子を負ひて　雪の吹き入る停車場に　われ見送りし　妻の眉かな 1907年9月から啄木は小樽で新聞記者として働きはじめました。折しも義兄（姉の夫）である山本千三郎が中央小樽駅（現小樽駅）の駅長をしていて、三角市場の近くにある官舎に住んでいました。単身で小樽に来た啄木はその官舎に住むことになりましたが、翌1908年1月釧路へと転じ、釧路新聞で記者をすることに。小樽では会社の内紛に巻き込まれたらしく、小樽で過ごしたのはわずか4か月ほどでした。　#小樽　#石川啄木　#三角市場　#新聞記者

日埜直彦『日本近代建築の歴史　明治維新から現代まで』（講談社選書メチエ）を読み終えました。私は東京にいた頃建築雑誌の編集記者をしていたこともあり、建築関連書をよく読みますが、本書は通史としてよく書かれています。文章がこなれていて、とても読みやすいし。 私が通史として愛読しているのは、村松貞次郎『日本近代建築の歴史』（ǸHKブックス）です。私が『建築家・葛西萬司』（日本地域社会研究所）を出版する際も参考にしました。とはいえ、村松貞次郎の本は1977年刊行のため、現代までフォローできていません。著者の本が果たす役割は大きいと思います。良書です。　#日埜直彦　#日本近代建築の歴史　#講談社選書メチエ

秋から始まる朝ドラ「ばけばけ」では、「マッサン」で主役を演じたシャーロット・ケイト・フォックスが出演します。「マッサン」の舞台となったのは小樽市郊外にある余市町。余市は戊辰戦争で敗れた旧会津藩の人々が中心となって移住しつくりあげた街。 NHKの朝ドラ「マッサン」の舞台になったことで、余市は全国的に知られるようになりました。ニッカウヰスキー発祥の地で駅の近くにある工場（写真）は見学可能。工場からさらに5，6分歩くと余市宇宙記念館（スペース童夢）があります。宇宙飛行士毛利衛さんが余市出身であることからつくられた博物館で多くの観光客を集めています。　#マッサン　#余市　#毛利衛　#ニッカウヰスキー

岩田重則『火葬と土葬　日本人の死生観』（青土社）を読み終えました。日本人がどのように弔ってきたか、を克明に紹介し、死生観の変遷を浮き彫りにしています。中世後期までに火葬と寺院納骨が上流階級を中心に浸透しますが、近世になると天皇や武家等は火葬を停止したそうです。 たとえば豊臣秀吉は生前から火葬を拒否し、遺体の保存を命令して亡くなりました。自身の神格化を強く望んだとのことです。火葬するのが当然と考えられがちな現代の日本ですが、かつての日本社会では必ずしもそうではなかった。そのことを本書で知ることができました。好著です。　#岩田重則　#火葬と土葬　#日本人の死生観　#青土社　#豊臣秀吉　#寺院納骨

エミリー・ブロンテ原作、ウィリアム・ワイラー監督の映画「嵐が丘」（1939年）を観ました。原作（翻訳）は読んだことがあり、印象深かったのですが、映画もなかなか。 「嵐が丘」と呼ばれる邸宅に生まれたキャシー（マール・オべロン）は孤児として引き取られ共に育ったヒースクリフ（ローレンス・オリヴィエ）と愛し合うことになるが、キャシーは別の男と結婚。ヒースクリフは立ち去り、金持ちになぅて嵐が丘に戻って来るー。人間の内部に潜む愛憎を二人の名優が圧倒的な演技で表現した名画です。重苦しいドラマなのですが、心に深く刻まれました。　#エミリー・ブロンテ　#嵐が丘　#ウィリアム・ワイラー　#ローレンス・オリヴィエ

西田耕三編『『千葉周作』」（ǸSK地方出版）。「さんりく文庫）の一冊として宮城県気仙沼の出版社から出た本。私が好きな坂本龍馬は土佐から江戸に出て千葉周作の弟千葉定吉の道場で剣術修行をしました。周作の道場玄武館は日本一の道場としてにぎわいますが、周作は私の故郷陸前高田で生まれたといわれています（異説あり）。 本書は千葉周作の出生地、家族関係、江戸に出てからの活躍を史料を基にまとめたもので、とても興味深い内容。周作は水戸藩の師範となりますが、水戸藩は徳川光圀が始めた水戸学の本場。尊皇攘夷運動の震源地で、龍馬にも影響を与えました。　#西田耕三　#千葉周作　#陸前高田　#水戸藩　#坂本龍馬　#尊皇攘夷

「国宝」が大ヒット中、李相日監督の「フラガール」（2006年）を観ました。話題になったことは知っていましたが、観るのは初めて。涙あり笑いありで大きく心が揺さぶられました。 昭和40年前後の福島県いわき市。常磐炭鉱は石油に押され停滞期に。閉鎖が迫る中、起死回生策としてフラダンスを主軸にハワイアンセンターを作ろうという案が浮上。東京からやって来た先生（松雪泰子）の下で、女性たちが熱心に学び始めるー。チームのリーダー役（蒼井優）と兄（豊川悦司）、母（富司純子）の家族の物語が面白かった。蒼井優は華がありますね。　#李相日　#フラガール　#いわき　#蒼井優　#豊川悦司　#富司純子　#松雪泰子　#常磐炭鉱

片山杜秀『尊皇攘夷　水戸学の四百年』（新潮選書）を読み終えました。水戸藩の第二代藩主徳川光圀は水戸黄門としてよく知られていますが、水戸学をおこした人でもありました。尊皇攘夷の学問として、水戸学は明治維新を引き起こす原動力となりましたが、本書はその歩みを克明にたどっています。 中でも興味深いのは、三島由紀夫に言及している点です。三島の祖先は幕末の「天狗党の乱」に関与した人で、そのことは三島の自殺に影響を与えている、と本書で初めて知りました。とても読み応えのある労作です。　#片山杜秀　#尊皇攘夷　#水戸学の四百年　#新潮選書　#水戸藩　#徳川光圀　#天狗党の乱　#三島由紀夫　#明治維新　#水戸黄門

村上覚『ラテン語の世界史』（ちくま新書）を読み終えました。私はエスペラント語を話すので大型書店の外国語棚を観ることがあるのですが、近年ラテン語の学習書が増えていると感じていました。著者によると、2010年くらいからラテン語への関心が高まり、関連書籍が増えているそうで納得しました。 古代ローマ帝国の公用語として採用されてから、ラテン語がどのように普及していったのか、本書では克明に紹介されています。日本では16世紀、ザビエルの来日以来キリスト教の宣教と共に広まっていった、とのことです。ラテン語を切り口にした西洋史で、とても面白い内容でした。　#村上覚　#ラテン語の世界史　#ちくま新書　#ザビエル

秋から始まる朝ドラ「ばけばけ」の主人公小泉八雲（ラフカデイォ・ハーン）が熊本にやって来たのは1890年11月19日。結婚したばかりの妻セツを伴い第五高等学校（現熊本大学）の英語教師として赴任。2年後坪井西堀端町に転居。周辺は閑静で広い庭があったそうです。現在この旧居は記念館（写真）となっていますが、当時の家はなく跡地に建つ記念碑のみが往時を偲ばせています。この家でハーンは代表作「知られざる日本の面影」等を書きました。 ハーンはその後神戸クロニクル社の記者となり、3年近く滞在した熊本に別れを告げました。日本へ帰化し、小泉八雲を名乗るのはその頃からです。 #小泉八雲　#熊本　#朝ドラ　#ばけばけ

半藤一利『山県有朋』（ちくま文庫）を読み終えました。長州藩出身で吉田松陰の松下村塾で学ぶ。高杉晋作が設立した奇兵隊を出発点に、低い身分から身を起こし、伊藤博文と共に明治政府の重鎮として活躍した山県有朋の生涯を活写。徴兵制を実施する等、陸軍の権力を掌握したことでのし上がってゆく過程が本書では克明に描かれています。 著者は「好きになれない」と書いていますが、私も亡くなる直前まで権力欲を抱き続けた山県有朋という人物が好きにはなれませんでした。才能がある人ではあるのですが（写真は萩城）。　#半藤一利　#山県有朋　#ちくま文庫　#高杉晋作　#奇兵隊　#吉田松陰　#松下村塾　#伊藤博文　#長州藩　#萩城

フランス映画の巨匠ルイ・マル監督・脚本の「さよなら子供たち」（1987年）を観ました。1944年ドイツ占領下のフランス。カトリックの寄宿舎に住むジュリアンは転入生ジャンと親しくなります。ジャンは優秀でしたが、秘密がありました。ユダヤ人だったのです。やがて密告によりゲシュタポ（秘密警察）が現われ、神父やジャンたちは連行され、収容所に送られます。神父は別れ際に「さよなら子供たち」とつぶやくのでしたー。 ルイ・マル自身の体験に基づいた作品。戦争シーンはありませんが、それが逆に戦争によって人々が引き裂かれる残酷さが伝わってきます。心に深く刻まれる名画です。　#ルイ・マル　#さよなら子供たち　#ユダヤ人