「仁神さんは、天を信じてるんですね」
正装をさせるときのトガシは油断ならないと、仁神は知っていたはずだ。堅苦しい礼服にいつまでたっても苦々しい顔を隠さないこの王は、一人で着るといつまでも服に腕を通さないものだから、半ば強制的に人の手を借りることで乗り越えている。人の手を借りることを嫌うトガシにしては珍しい怠惰を、仁神は彼なりの甘えなのだと受け止めていた。例えおのれが内政の長をつかさどる家宰であり、主上とはいえ着替を手伝うことなど、ありえないと知ってもいても。彼なりの線引はあるらしく、本来ならその役割を引き受ける女官や小間使は尽く振られた。彼の半身たる小宮ですら、
19 days ago