ぴきのすけ (@piki-nosuke.misskey.design.ap.brid.gy)

当店のおすすめ小説紹介へいらっしゃい！読みたいもの別、当店の小説のおすすめを紹介します。ノスタルジック風味のロードノベル、体格差温度差種族差のある男女のラブコメ、ファンタジー設定資料おつまみ、いろいろあるよ。ぴきのすけの小説は、基本的に同じ世界観で一話完結の作品になっています。どこからでも、一つだけでも読める作品を心がけています。（でも何かが繋がっていたりするので、見つけてみても楽しいかもしれません）ﾋﾞﾋﾞｯときたものがあればよろしくお願いします！ * お通し * 東経138°地点の虫捕りと信仰 * りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがしたい彼女 * 観測所レポート特集号より【還り魚】 * ちょっと怖くて不思議な物語が読みたい * 僕と■■■の、夢の旅（30,000字） * 東の森のミヤマ様（12,000字） * 幽霊の住む天文台（8,000字） * 夏休みに好きなキャラの記憶が消えたかもしれない（8,000字） * キャラがじゃれあってる軽めのが欲しい * りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがしたい彼女（シリーズ） * りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがしたい彼女（2,000字） * 今夜君と食べたいヤバめの丼（2,000字） * 青き春のサイキックデイズ（24,000字） * 世界観を感じる設定資料集が好き * 観測所レポート特集号（4,000字） * 観測所レポート常世の使役動物（2,000字） * キャラクターの成長や内面に焦点を当てた話を出してくれ * 七年後の八月に（7,000字） * よみほたる（19,000字） * 呼んで、愛しい花一匁（21,000字） * おわりに ### お通しひとまずお通しだけでもどうぞ。短めでも味が染みてます。東経138°地点の虫捕りと信仰 #### 東経138°地点の虫捕りと信仰現世の旅行で田舎道を歩いていたら、急に神様に呼び止められた。「なんじゃ、鬼の若造が人間にまぎれておるな」「わびっくりした。ここの神様っスか。こんちわ〜ごきげんよ〜」「若造、その石札はなんじゃ。近頃、人間がそれを持ってわしを参りよる」俺のAndroidのことらしい。聞けば近頃、人間がこれを持って神様に参りに来るそうだ。何十年も参拝者は先細り、年寄りがぼちぼち来るばかりだったのに、近頃はむしろ若い連中の方が多いから妙だと仰る。ついでにわしは名の知れた神だったんじゃとか、村中でわしを祀っていたとか、最近の人間は信心が足りなくていかんとか、そのせいでわしは長いこと衰えていたとか。ここぞとばかりに人懐っこく話しかけてくる。そもそも祠も藪の中だし、見える者が通り掛からなかったから話し相手もいなかったんだろう。それにしてもスマホで祈るタイプの神様ってなんなんだろう。考え込んでいると、村人らしいキッズが『石札』を持って現れた。神様がそわそわして、キッズから石札について聞き出せと仰る。「こんちわ〜。少年、なにしてるんスか？」「こんちわ〜。ここさ〜、たまにダイジャが出るんだよ！」「え？？ああ、ポシェモンのね……」キッズのスマホの画面にはこの辺りの地図をマッピングしたバーチャル空間。祠の位置ではクリスタルが回っている。神様の祠は、人気の位置情報ゲームのチェックポイントにされていた。「うーん今日はダイジャいないなぁ。明日は出ますよーに！」キッズはバーチャル祠からアイテムを回収して去っていった。神様はおおらかなもんで、小さな参拝者に満更でもなさげだ。「あの童もよく来るんじゃ。今日も石札を擦っていたな。結局なんじゃった？」触れない情報に大勢の人間が意味を見出して、捕ったり集めたり競ったり。これは、なんというか…… 「虫捕り……いや」神様を知り、拝む者がいれば神様は力を持つと聞く。たとえそれが、バーチャルダイジャ出現祈願キッズでも構わないらしい。「一種の信仰っスね」 #旅 #信仰東経138°地点の虫捕りと信仰 - ぴきのすけの小説 - pixiv りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがしたい彼女 #### りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがしたい彼女うたた寝中、誰かに起こされて目が覚めた。誰か、といってもこの現世に借りてる安ワンルームには、俺とおうちデート中の彼女の二人しかいないのだが。目を開けるとユルキが枕元にいて、困った顔で俺の顔を覗き込んでいる。「葵ちゃん、離して」はなす、とは何かと考えていると、手の中で何かがもがく感触がした。それがユルキの手だと気づき、心臓が止まるかと思った。「うあっ……！！！」慌てて手を開いて放す。「大丈夫っスか？！」寝起きで声がひしゃげた。小さな手が折れてないかとか、指をもいでないかとか気が気でない。なんで、いつ握ったんだ。「ん、へーきー」ユルキが素早く切り替えて背中を向ける。「だめ。ちゃんと、よく見せて」小さい生き物は怪我したとき無理をするから、口だけの「平気」は信用ならない。「あ、葵ちゃんん！？」捕まえると騒ぎ立てて腕の中で暴れた。観念するまで抱えておく。動きが止まったら、手首を掬って確認。見た目は問題ない。「握って。痛くない？ほんとに怪我してないっスか？」「い、いた、痛くないよ〜、ほんとにっ、だ、大丈夫だからぁ〜〜」元気に握ったり開いたりする。「うん、ならいいっス」息をついて開放してやると、ユルキはこそに座り込んだ。「なんで自分、ユルりんの手握ってたんスか？寝てる間に掴んじゃった？」無意識にやってしまったのだろうか。「あ、葵ちゃんの手、すきま、空いてたから、自分で入れたの。そしたら取れなくなっちゃった…」「なんで……」なんでわざわざ突っ込んだのと言いかけて、いつも手を握りたそうにしているのを思い出した。その度にやんわりと拒否している。鬼の手は、形は人間と似ていても数倍の握力がある、らしい。俺から見たら、ユルキの手は小さくてやわこくて皮が薄くて骨が細くて、要は握りつぶしそうで怖いのだ。「自分、こう見えて握力強いっスから…寝てるときは緩めてあげられないっス。危ないから、やめてね」「はあい」ユルキはちょっとしょぼくれてしまう。同族の彼氏だったら、こんなのちょっとしたいちゃいちゃで済むんだよなあ。なんでこのお嬢さんは俺なんかを選んじゃったんだかなあ。「にしても、寝込みを襲うとは積極的っスねえ」「ちっ、ち、違うからぁ……」安心して覇気のない煽りになってしまった。ユルキは真っ赤になって目を逸らしているが、ちゃっかり俺の手を掴んで両手でにぎにぎしていた。一方的にされる分にはまあ…しっとり柔らかくていいんじゃないでしょうか。 #5 りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがしたい彼女 | りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがし - pixiv 観測所レポート特集号より【還り魚】 #### 観測所レポート特集号より【還り魚】一部の沿岸地域で知られている。沿岸地域が常世と繋がった際に近海に訪れる魚群である。魚一匹一匹が、故郷へ帰る死者の魂の乗り物であると言われている。往復を繰り返すうち、常世へ自然と溶けていく。還り魚を食べた者は死者と混ざると言われているため、これが訪れる期間は多くの地域では禁漁期間となっている。ーー雲船岬灯台の研究者盆の時期だった。旅行中にたまたま通りかかった海辺の屋台で、珍しい魚が手に入ったと聞いたんだ。屋台って言ってもおしゃれなキッチンカー？っていうのか、車で調理して食べさせてくれるのがあるでしょう、あんなようなもので、そんなに嫌な感じはしなかったな。お酒も少し入ったころでおすすめされたんだ。特に断る理由もなかったし、物珍しさで頼んでみた。出てきたのは白身のフライで、特に珍しい味ではなかった。ただ、食べた瞬間に知らない家や町や人のイメージが、頭に浮かんだ。よく考えればどれも全く知らない文化圏のものなのに、違和感は感じなかった。懐かしい記憶を思い出すみたいに、もしくは昔読んだ本の内容みたいに、自然に頭に定着していったんだ。私は陸の方の出身だから知らなかったんだけど、だいぶ後になってから人に話したら、還り魚だろうってさ。あれは魚の形をした死者の記憶とか魂みたいなものなんだって。死者への敬意って意味でも、自分を守る意味でも、あまり食べない方がいい物みたいだね。私が食べたのは平和な人の還り魚だったみたいだし、その人には申し訳ないけどまだよかったよ。いや、なんであのキッチンカーのおねえさんが、私にそんなものを提供したのか謎だけど。還り魚を食べるのって、常世で混ざる感覚に近いらしいよ。混ざるってもっと気持ち悪い感じとか、インパクトのある体験だと思ってたから、穏やかすぎて逆に怖くなっちゃったよ。ーー還り魚を食べた者の体験談 #異世界 #巨大生物観測所レポート特集号 - ぴきのすけの小説 - pixiv ### ちょっと怖くて不思議な物語が読みたい人が生きる「現世」と広大な異界「常世」が地続きに繋がる世界で起こる物語です。店主はそういうのが大好きです。民俗学的な要素やオカルト要素のある不思議な話が多いです。 #### 僕と■■■の、夢の旅（30,000字） _「平井は、おかえりを言ってくれる人のところに、帰ったほうがいいです」_ www.pixiv.net あらすじ平井は熊野に登山に来て、神隠しに遭う。迷い込んだのは、妖怪が暮らし、現世を渡る土地「朱越」。平成から遠く離れてしまった平井が、神隠しから生還するまでの話。広大な世界に放り込まれた人間が主人公のロードノベル。ノスタルジックで不思議な雰囲気で当店おすすめです。店主としても好きなシーンがいっぱいあります。最後まで読むとタイトルの意味が分かります。 #### 東の森のミヤマ様（12,000字） _「特にね、子供と年寄りは溶かして食べちゃうんだって。だから怖いと思ったらダメなの」_ www.pixiv.net あらすじ天狗の弟子風志朗は、友達のユルキから「ミヤマ様」の怪談を聞いた。ある日、ユルキが行方不明になる。風志朗はユルキを捜しに雨の中を走った。緊張感のある一夜の冒険の物語。当店の中では（ダーク）ヒロイックです。ホラーも当店比やや強め（一般的には弱めかも）。 #### 幽霊の住む天文台（8,000字） _「僕にとってはつい昨日の出来事だ。子供の時の、ヨシタカ君に会ったのは」_ www.pixiv.net あらすじ仲の良い従兄弟３人で思い出話をしていたヨシタカ。子供のころの自転車の冒険の中で、自分だけが覚えている出来事があることに気づく。ヨシタカは12年前のその場所を確かめに向かう。短編ですが当店の味がする一品。こちらを気に入っていただけたら、もしくは口直しをしたくなったら「僕と■■■の、夢の旅」がおすすめです。 #### 夏休みに好きなキャラの記憶が消えたかもしれない（8,000字） _30: 名無しさん 2024/08/17 20:43:46_ _そんな簡単にフレンズを差し出していいのかぜ！？_ www.pixiv.net あらすじ小学4年生の夏休みに好きなキャラの記憶がなくなったと語る1が、当時の出来事を振り返るスレ。釣りかまことか、マイルド・オカ板な話です。これも当店の味がします。解説記事もあります。解説を読みたい場合にどうぞ。 pikinosuke.hatenablog.com ### キャラがじゃれあってる軽めのが欲しいキャラが仲良くしている様子が微笑ましい短編です。↑と世界とキャラが一緒で、比較的ライトな雰囲気です。風味は全然違うと思います。 #### りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがしたい彼女（シリーズ） www.pixiv.net タイトル通り、りんごは片手で割っちゃう系彼氏の葵と、その彼氏とど～～～しても恋人繋ぎがしたい彼女のユルキのラブコメ。憧れで舞い上がってる一生懸命な女子と、それをいなしつつたまに照れさせて面白がってる男子が、当店のラブの味ですね！ #### りんごは片手で割っちゃう彼氏と恋人繋ぎがしたい彼女（2,000字） _ケータイは葵ちゃんに握ってもらえていいなあ。画面バキバキのくせに。_ www.pixiv.net あらすじユルキとのおうちデートで寝ちゃった葵が起きると、手の中に… シリーズ名を冠したSS。彼女視点・彼氏視点の両方あってお得です。お通しは彼氏視点。店主は端的にこういう関係性が大好きです。 #### 今夜君と食べたいヤバめの丼（2,000字） _「こらネコチャンしろ」_ www.pixiv.net あらすじ葵と夜行丸、鬼の男子ふたりが食べるヤバめの丼とは。これは店主の自論ですが、一緒に何を食べるかに、二人の関係性が表れると思います。特に食性が人間と異なる人外ならなおさら。 #### 青き春のサイキックデイズ（24,000字） _「クラスメートのこと手持ちっていうのやめな？バチ当たるよ？」_ www.pixiv.net あらすじここは朱越高校！今年は少々サイキックな新入生がやってきたぞ。汗と涙と恋と戦いと焦燥と反省の青春短編集。エイプリルフールに書いた学園超能力パロです。ぴきのす家の主要メンバー4人が中心。一回限りをいいことに、普段よりポップにライトにチャーミーに振ってます。元の性格や関係性との違いを出すのも楽しかったです。 ### 世界観を感じる設定資料集が好き現世と常世の間で起こる現象を調査・記録する組織「観測所」の報告書形式シリーズ「観測所レポート」です。本編では語り切れなかった世界の表情を書いています。攻略本や資料集、図鑑、フレーバーテキストが好きな人におすすめ。観測所レポート図解版1 観測所レポート図解版2 #### 観測所レポート特集号（4,000字） _常世の生物には実態の解明されているものの方が少ない。_ www.pixiv.net お通しの「還り魚」を含む、架空生物・巨大生物・怪奇現象のレポート5本セット。あくまで研究員視点の記述なのが推しポイントです。他作品に登場した内容もあります。 #### 観測所レポート常世の使役動物（2,000字） _ユテイの民は、オクの背中及び体の側面に家屋を建設し、それを住居として利用する。_ www.pixiv.net 動物を「家」として使う民族の話。使役動物・経済動物という存在が好きです。生活を共にする親しみと、経済的理由で繋がっている距離感がいいと思います。 ### キャラクターの成長や内面に焦点を当てた話を出してくれ「ライトなやつ」よりキャラクターの内面に踏み込んだ話です。このラインナップを集めていたら図らずも幼少期の話ばかりになりました。読後感は温かめだと思います。 #### 七年後の八月に（7,000字） _「よく捕まえたね、ありがとう。でもな風志朗、文明人はセミを食べないんだ」_ www.pixiv.net あらすじ天狗になりたての風志朗は、翅の欠けた蝉を拾って師匠である菊一に見せに行く。師弟と蝉が過ごす夏の物語。夏特有の切なさをお求めの方におすすめ。菊一の最後の行動は、人によって正解が違うと思います。 #### よみほたる（19,000字） _「…葵、海閉めの晩に、なにか見たか？」_ www.pixiv.net あらすじ故郷の島に帰省した大和葵が、幼い頃の原体験を回想する話。「不思議でちょっと怖い話」でもある葵の原体験の話です。海の気持ちよさと怖さと憧れを詰めました。 #### 呼んで、愛しい花一匁（21,000字） _「そう怖がるなって。手負の獣かね、君は」_ www.pixiv.net あらすじ鬼の少年、角（かく）は、幼いながら家の跡取りの役目に悲観していた。ついに父の厳しい稽古に耐え兼ね、家を飛び出してしまう。逃げた先で杜番の天狗に助けられ、その弟子である幼子に出会う。幼少の夜行丸（角）と、風志朗と菊一の話です。理解や解決できない問題があるが、折り合いをつけて共生する関係が癖です。「よみほたる」と比べると、同じ鬼の子の境遇の差が味わえます。 ### おわりにぴきのすけの小説、タイトルだけじゃわからないな、どこから読んだらいいの？とたぶん自分も読者だったら思うので、体系的に整理したものを作りました。気になった作品はあったでしょうか？あったらとても幸いです。今年の目標、**創作をまとめる年** を一応達成！ pikinosuke.hatenablog.com https://pikinosuke.hatenablog.com/entry/2025/11/02/184353