夢。
どこを向いても激坂だらけの山奥の集落に居る。民家は古城の石垣の様な風体の上に建設されたバラックアパートで形成されている。その一角から老女の題目が聞こえる。何故私がここに居るかというと、熱を上げている駆け出しの演歌歌手「渦京子」が巡業をしているからである。ここでの私は同年代の青年になっている。彼女は哀しいほど知名度、人気が無く曲は幾つか出しているが燻っている。下心は無いがファン一号というのもあり友人の様な親しみと特別なお節介をやいている。
渦京子は長く伸ばした髪に赤い着物を纏い酸欠少女さユりが藤圭子節で歌った様な風の20半ばの若い歌手だった。彫りの深い瞳をしたかなりの器量良しであった。
13 days ago