地中海性気候 (@sea-bb.bsky.social)

ハデスさんがいなくなってしばらくは本当の「不在の実感」がないベルゼブブ。声も表情も色濃く思い出せる。「余が負けて死ぬなんて、冗談に決まっているだろう」と今にも後ろから語りかけてくるような気さえする。それが、1週間後か、1ヶ月後かわからないけど、ある日何かのきっかけで、プツンと袋に穴が空いたようにハデスさんの気配がこの世からスルスルと抜けていく。もう会えないのだという事実が、あまりにも重く、ベルゼブブにのしかかる。「いかないでください」モニター越しに「その瞬間」を見た時には言えなかった本音が、ベルゼブブの喉からこぼれた。誰も聞いていないのに、ベルゼブブは彼の名前を小さく呼んだ。