どうもしてほしくなくて、どうもしたくないような心を乱さない心が必要だ。
荒川にとって立花がそれである。否定も肯定もしない。寄り添うだけ寄り添って手を握る。それがそのままの意味でなくてもかまわない。
言葉が通じて意味が分かるなら二人だけで生きてもなんの支障もない。
なにも介さず生きられるならどれくらい楽だろうか。
孤立しては生きられもしないが、二人なら息を繋げられるだろう。
生きるためだけに生きて、一緒にいる。それで十分だ。
苦しくないよう双方が作用するのは理想的だ。
奇跡的に、彼らはそのような在り方をしている。
死ぬために生きるのではない。生きるために生きて、それから死ぬ。
それで十分。
 4 months ago