故郷の祖父母と離れて暮らすようになってから栗の皮を剥く機会がなくなった 栗のお赤飯を食べることもなくなった 夜明け前に出発し車で往復5時間かけていく最上稲荷の初詣のあとに買って帰る皮つきの天津甘栗も,餅つきや稲刈りやお見合い話も面倒なことはすべて故郷に置いてきたような気がする 東京には星の数ほどコンビニがある 人が居ようが居まいが24時間強烈な光を放っている 自動ドアをくぐって甘栗むいちゃいましたを買ってパウチ袋を開けるだけ コンクリートジャングルに拾う栗はないのだ 渋皮を恨みながら栗を剥くこともない 最上稲荷も家族もないが誰かが剥いて誰かが売ってわたしが買った甘栗むいちゃいましたはここにある
15 days ago