読了記録
『お縫い子テルミー』栗田有起著 集英社 市立図書館
テルミーは南の島で祖母と母と3人で、転々と他人の家で居候をして育った。異物として吐き出されないよう家の壁に同化し、家のお手伝いをし、男の欲求を受け入れ、祖母の教えを聞き、母の助けとなり、布を手に持った針で縫って生きてきた。東京にやってきたテルミーは歌舞伎町の夜の仕事で女装のシナイちゃんに出逢い恋をする。シナイちゃんはテルミーにプロの縫い子としてのきっかけと居候先を与えてくれるが、彼女の恋は決して叶わない。テルミーと布地、テルミーとシナイちゃんの触れ合いの描写が官能的。恋に苦しみゲロを吐くテルミーは汚れなく潔い。
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