五悠
先生は、機嫌が悪いとき分かりやすいタイプだと思う。己の不機嫌を隠さないというか。先生の家の事情はまったき知らないが、感情を殺さずとも生きていけた環境なのかな、とか思った。または、そうせざるを得なかったというか。
感情を表に出す、というのは存外難しいことである。人に気を使えば己の事は二の次にするし、ということは周りに気を使って自分の感情を出さずにいる必要がある、ということでもある。素直になるって以外と難しい。
イタドリは自分の前に座る人を見つめた。先生の口元はゆるりと弧を描いている。人差し指がトン、トン、とテーブルを一定のリズムで叩いていた。
「美味しい?」
機嫌悪、と思う。居心地も悪い
28 days ago