大川邦夫「稜線」、戦時中の「後家の身で息子三人を戦地に送り出している立派な母の家」という村内ステイタスが敗戦で崩壊し、生きて復員した兄二人は上は凶暴化し下は病み、「戦争が終わったばかりに、私の少年時代の家が根底から乱され、壊されかけていた」という発端から、「新綱領」下の左翼文化運動の分派対立と「左翼小児病」のうずまくグダグダの惨状まで、自己の体験の記録にとどまらず、乱れ壊れかけている集団の分析がシャープで、これができたら河合塾で「現代文の神」になれるのか、という感心もあります。
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about 1 month ago