「新婚旅行かい?」
「いえ、一人で」
「そうか。ますます珍しい」
東京の出身だという。タダで持ってけ、が同郷の若者への善意かと思いきや棚にあった土産の食料などもはやいつからあるのか知れないため早めに処分したいのだという。「お前がいらないってんならうちで食うだけだ」
聞くとこの地で太平洋戦争を経験し傷の深さから捨て置かれたらしい。当初は他にもいたがみんな死んだ。親切にしてくれた家の娘をもらい家族をもうけた。こどもがいるため今更捨て置いて帰るわけにもいかない。日に焼けた頬は柔らかな丸みを帯び、黒目がちの大きな瞳とまばらに生えた顎ひげが不釣り合いな男だった。
みたいなif世界のmzk無限に読みたい
almost 2 years ago