カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳『日の名残り』(中公文庫)読み進めながらとても面白いと感じつつ、私の感じる面白さはこの作品の評価とはズレているのかもと少し不安にもなる。始まりが旅立ちでありながら、中身は旅よりもひたすら過去の出来事を描いていることや、従来は無口で無私の存在である執事がめちゃくちゃ自分の胸の内を語り続けてること、雇主であった卿への愛と敬意が混ざり合った劇重感情などなど。執事萌えという感覚が当時のイギリスにあったのかしら。語り手のスティーブンスが愛おしくてたまらない。
7 months ago