村田沙耶香『世界99』読了。
上下巻合わせて850ページの長編。
感情を持たず、まわりの状況に合わせてキャラを作っているだけの主人公空子は、特異なようでいて、共感するところも多い。
空子の心情描写を読んでいると、私自身も、素の自分は思いのほか無色透明なのではと気付かされる。
人工的に作られた愛玩動物ピョコルン、ラロロリン人など、近未来的な要素も多いが、描かれている世界観は現代社会の闇そのもの。
生と死、善と悪、ジェンダー、社会階層など、哲学的な問いかけを多層的に組み込んだストーリーが、日常性と壮大さを両立させながら展開していく。
現代の聖書とでもいうべき普遍性を持った奇書。
about 2 months ago