さに】
後ずさろうとする審神者の手を、石切丸は静かに、しかし確かな力で掴んだ。
逃げ道を断つようでありながら、その指先はどこか慈しむように優しい。
そっと持ち上げた手首に、唇を落とす。
触れた場所から熱が広がるような、優しく丁寧な口づけ。
だが――
「君が“私の好きにしていい”と言ったんだ」
低く落ち着いた声が、すぐそばで響く。
「……逃がすわけないだろ」
紫の瞳がまっすぐに主を射抜く。
その視線に絡め取られたように、身体が動かない。
優しさを湛えながらも、確かな独占の色を宿したまなざし。
暗がりの部屋で静かに主を見下ろす瞳の奥に抗えぬ意志が静かに燃えていた。
#石さに
#刀さに
3 months ago