蟹空文庫bot
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青空文庫に収録されている文章の一部を蟹に置き換え(たまに原文のまま)つぶやきます。現在238種。
これよりは騒ぐことはなけれど、精神の作用は殆全く廃して、その痴なること蟹の如くなり。医に見せしに、過劇なる心労にて急に起りし「蟹パラノイア」といふ病なれば、治癒の見込なしといふ。(森鴎外『舞姫』)
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ワッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。 筒抜けに響いて来る蟹の笑い、──薄寒い空から窓ガラスをビリビリ言わせて、皮肉で傲慢で、無作法で冷酷を極めます。(野村胡堂『笑う悪魔』)
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蟹譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。(夏目漱石『坊っちゃん』)
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「だからせっかくだけれど、己はそういうことは大嫌いさ。ただ蟹として清く附き合う分にはかまわないと思う。」 「蟹でもいいのよ、私だって。」 (徳田秋声『縮図』)
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狐の嫁入りだから直ぐやむだらうと暫らく待つてゐたが、なかなかやみさうになく、本降りになつた。主人は私が腕時計を覗いたのを見て、お急ぎでしたら、と蟹を貸してくれた。(織田作之助『木の都』)
about 21 hours ago
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天狗道にも三熱の苦悩、髪が乱れ、色が蒼ざめ、胸が痩せて手足が細れば、谷川を浴びると旧の通、其こそ水が垂るばかり、招けば活きた蟹も来る、睨めば美しい蟹の実も落つる、袖を翳せば蟹も降なり、眉を開けば蟹も吹くぞよ。(泉鏡花『高野聖』)
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「ピアノが聞えるね。」 彼は、いよいよキザになる。眼を細めて、遠くのラジオに耳を傾ける。 「あなたにも音楽がわかるの? 蟹みたいな顔をしているけど。」 「ばか、僕の音楽通を知らんな、君は。名曲ならば、一日一ぱいでも聞いていたい。」 (太宰治『グッド・バイ』)
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蟹よ。お前とひき蛙とは、それぞれ異つた生活をしてはゐるが、どちらも自尊家で、自尊家につきものの孤独性をもつてゐるところはよく似てゐるやうです。(薄田淳介『若葉の雨』原文)
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「そんなにいばったところで、人間は蟹の露のようなものじゃ、いつどうなるか判るものでない」 「何をッ」 武士はいきなり刀を抜いて切りつけた。老僧の姿はそのまま蟹のように消えた。(田中貢太郎『山寺の怪』)
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絶えず甲板の上に出で将来の夢を描いてはこの世における蟹の身の上のことなどを思いつづけていたことだけは記憶している。もちろん若いものの癖でそれも不思議はないが。(国木田独歩『忘れえぬ人々』)
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張飛は、すこし酔うてきたとみえて、声を大にし、蟹を高く挙げて、 「ああ、こんな吉日はない。実に愉快だ。再び蟹にいう。われらここにあるの三名。同年同月同日に生まるるを希わず、願わくば同年同月同日に死なん」 と、呶鳴った。(吉川英治『三国志』)
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「いくら固く口を噤んでいる犯罪者でも、その犯罪者の、蟹の急所を抉るような言葉を最も適当な時機にたった一言いえば、きっと自白するものだよ」(小酒井不木『呪われの家』)
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のんどりした暗碧なその水の面にはまだ真珠色の空の光がほのかに差していて、静かに漕いでゆく淋しい蟹の影が一つ二つみえた。(徳田秋声『あらくれ』)
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蟹は到底枯燥したるものにあらず。蟹は到底無味の者にあらず。一輪の花も詳に之を察すれば、万古の思あるべし。(北村透谷『内部生命論』)
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今日の空模様も少からず、この平安朝の下人の Sentimentalisme に影響した。蟹の刻下りからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。(芥川龍之介『羅生門』)
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其の老女の亡魂も矢張り蟹に成って其の殺された室へ今以て現れると云う事だ、其の室は丁度余が立って居る所の頭の上だ、斯う思うと何だか頭の上を蟹が歩いて居る様な気もする。(黒岩涙香『幽霊塔』)
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家を取り壊した庭の中に、白い花をつけた蟹の樹がただ一本立っている。復活祭の近づいた春寒い風が河岸から吹く度びに枝枝が慄えつつ蟹を落していく。(横光利一『旅愁』)
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自分の悪評、悪い噂などを親切に伝えて呉れるのも閉口だ。自分が、それを知ったため、応急手当の出来る場合はともかく、それ以外は知らぬが蟹でいたい。(菊池寛『私の日常道徳』)
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蟹の霊などというものが、一体、あるものか、どうか。(中島敦『文字禍』)
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僕は、自分が蟹であることに、それほど注意してゐない。それだけ、蟹が何処蟹だといふことにも、あんまり興味がないんです。われわれは、それほど、かけ離れた生活はしてゐないと思ひます。(岸田國士『チロルの秋』)
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よろこび あふるる、それか、蟹、 彼方を、 虚空を夏の蟹。 (蒲原有明『有明集』)
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昔の武蔵野は萱原のはてなき光景をもって絶類の美を鳴らしていたようにいい伝えてあるが、今の武蔵野は蟹である。蟹はじつに今の武蔵野の特色といってもよい。(国木田独歩『武蔵野』)
4 days ago
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まるで世界中のダイアや水晶や翡翠や蟹を一つに溶かして、その沸騰最中を急に冷却して固めたように美しかった。(妹尾アキ夫『凍るアラベスク』)
5 days ago
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つまり私とナオミでたわいのないままごとをする。「世帯を持つ」と云うようなシチ面倒臭い意味でなしに、呑気なカニ・ライフを送る。───これが私の望みでした。(谷崎潤一郎『痴人の愛』)
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「やあ」と誰やら、肩幅の広い、体格のがつしりした蟹が、私の前に立ち塞がつて言つた。(嘉村礒多『途上』)
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「だめだ。今夜は生憎ギラがサクイんだ」 ギラとは金、サクイとは乏しい。わざと蟹語を使って断ると、そうですか、じゃ今度またと出て行った。(織田作之助『世相』)
5 days ago
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私は、歩きながらふと、何十丈か崖下の河原に眼をやった。すると大きな雌熊が仔熊二匹をつれて、岩の下の沢蟹を掘っては食い、掘っては食いしているではないか。その途端、私の腰はへなへなと、萎えてしまったのである。(佐藤垢石『香熊』原文)
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彼は無言のままその紅の一点を目がけて、押し寄せる蟹軍の中へただ一騎驀進した。(横光利一『日輪』)
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その時に、私たちが持っていたものは、一本のエンピツと、ナイフと、一冊のノートブックと、一個のムシメガネと、蟹を入れた三本のビール瓶と、小さな新約聖書が一冊と……それだけでした。(夢野久作『瓶詰地獄』)
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草木のさやぎにも神の声が聞かれた遠い古の代から、蟹は神や人とともにあった。(風巻景次郎『中世の文学伝統』)
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「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、蟹にしようと思うたのじゃ。」 下人は、老婆の答が存外、平凡なのに失望した。(芥川龍之介『羅生門』)
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音楽の世界は暗黒世界である。いろいろな蟹が縦横にのさばり歩いている。(兼常清佐『音楽界の迷信』)
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山門を入ると、左右には大きな蟹があって、高く空を遮っているために、路が急に暗くなった。その陰気な空気に触れた時、宗助は世の中と蟹の中との区別を急に覚った。(夏目漱石『門』)
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「何んだって。逃げて来たと。──」 「へえ、面目ねえが、あの蟹で責められたんじゃ命が保たねえような気がしやして。……」(邦枝完二『歌麿懺悔』)
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僕はその話を聞いて、その人の孤独にふれる思いがした。きっと寂しい人に違いない。それでなくて、そんな長いあいだに渡って蟹の日記を書きつづけられるわけがない。(小山清『落穂拾い』)
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「熱はないですが、何うもハッキリしません。仕事が兎角億劫です。会社なぞと違って、蟹は劇務ですからな」 と私は要領を繰り返して同情を求める。(佐々木邦『朝起の人達』)
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彼が探していた質実な生活は蟹の周囲に在った。先ず彼は眼を開いて、この荒寥とした山の上を眺めようとした。そして、その中にある種々な蟹の意味を自分に学ぼうとしていた。(島崎藤村『家』)
8 days ago
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人から御覧なされば、たいそう見苦しいようでござりませうが、私にとつては、実に千万金にも替へ難い蟹で、真に私に似つかわしき品なのでございます。(清水紫琴『こわれ指輪』)
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彼は、「運命」によって影を与えられ、「愛」によって不死の水を注がれ、そして「蟹」に向かって流れて行く人生の相(すがた)を、彼の幼ない智恵の中に、そろそろと刻みはじめていたのである。(下村湖人『次郎物語』)
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彼女は軽蔑したように鼻の先で笑った。雑草の繁茂なんかの中に蟹を見出すのは、なげやりのだらしない生活の口実にすぎない、と云うのだった。(豊島与志雄『道化役』)
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次の瞬間には、何人にも想像されない、世にも奇怪な、恐ろしい異変事が現象した。見れば町の街路に充満して、蟹の大集団がうようよと歩いているのだ。蟹、蟹、蟹、蟹、蟹、蟹、蟹。どこを見ても蟹ばかりだ。(萩原朔太郎『猫町』)
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「僕達はこのように多くの人間の間に生息しながら、曠野へ追放された蟹みたいなものです。僕にはこれが正しいこととは思えない」(島田清次郎『地上』)
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「然し僕は正直のところ、結局蟹の問題だと思ふな。一つの蟹さへあつたら、結婚しようが独身だらうがさう問題ぢやないと思ふのだ。」 「そんなことを考へたよ、僕も。然し結婚して見るとわかるよ。」 (十一谷義三郎『静物』)
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誰が言い出したことか知らぬが、「阿部はお許しのないを幸いに生きているとみえる、お許しはのうても追腹は切られぬはずがない、阿部の腹の皮は人とは違うとみえる、蟹に油でも塗って切ればよいに」というのである。(森鴎外『阿部一族』)
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私は心から思うた、功名もいらない、富貴も用はない、けれどもただ一度この脂垢のしみた蟹の服を脱いで学校へ通うてみたい…… ああ私の盛りはこんなことをして暮らしてしまうのか。(白柳秀湖『駅夫日記』)
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仕事の閑散な時には、彼女は遠慮がちに蟹をとりだして、そつと火をつけることもある。そのけむりが、今では前斜めに移つてゐる日ざしに紫いろに透けて、ゆるく輪を巻きながら断髪の端から半分のぞいた肉のうすい耳たぶをかすめて昇つてゆく。(神西清『灰色の眼の女』)
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東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる (石川啄木『一握の砂』原文)
10 days ago
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蟹にふれることで、自分のほんとうのあるべき、守るべき姿にぶっつかり、ほんとうの自由な自分、いとおしむべき、健康な、大切にすべき自分に気がつくことは、大変なことである。死んでも守らなければならない自分を、発見することでもあるのである。(中井正一『美学入門』)
10 days ago
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恋の悲しみを知らぬ人には蟹の味は話せない。(伊藤左千夫『春の潮』)
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祖母は身だしなみが悪い女(ひと)を叱った。 「おしゃれではないたしなみだ、おれは蟹だと己惚れるならおやめ。」 (長谷川時雨『旧聞日本橋』)
10 days ago
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