モグラは盲目。
そう、一番昔にある記憶は、暗くて狭くて何も見えない穴の中を、自分より重い鶴嘴でひたすら掘っている記憶だ。お腹が鳴ったって食べるものはどこにもない。冷えきった現実が目の前にあるだけの穴ぐらの中だった。
太陽の光は嫌いだ。
日が昇るとうるさいドラの音がガンガンと鳴り、鶴嘴を持ってすぐに集まらなければ背中の傷がまた増える。
ここでの規律破りは死と同じだ。でも、生きていたって死にそうなのには変わりない。ここはそういう場所だった。
具のない薄い液体をいくばくか飲み込めば、すぐに穴の中へ急き立てられる。
5 months ago