鵜飼正樹『見世物小屋の文化誌』読了。
今やその存在も忘れられつつある見世物小屋に関する様々な文献をまとめた素晴らしい一冊。見世物小屋興行社の組織、「荷主」と「歩方」の役割、客を効率よく回転させるための舞台設計、呼び込みの種類、演目の種類や構成、切っても切れない障害者との関係、二人の画家によって描かれていた絵看板、中国・インド・スコットランドの見世物などなど。人間ポンプで知られる安田興行の舞台裏に光を当てたドキュメンタリーの書き起こしには、その後の業界の衰微も知っている身としてはウルっと来るものがあった。社会に馴染めなかった人々の受け皿として見世物小屋が機能していたことも窺える。
5 months ago