「楽しいな、帰りたくないな」
季節外れの誰もいない海だったが、その言葉通り俺達はかなり楽しんだ。超能力を使って濡れないようにズルしていたのがよかったのかもしれない。
しかし何事にも終わりは来る。海に夕日が沈むように。田舎のバス時間が迫るように。家の門限のように。
「帰りたくないって言っても、家では今日カレーなんだろ。早く帰らないとな」
頭をポンポンと叩いて歩き出そうとすると、後ろからスーツの裾をキュッと握られた。
「あの…、帰りたくないんですけど…」
その睨むような上目遣いに俺は腰にズクンと重い熱を感じた。
何、お前、さっきまでまるで子供のワガママじみてたってのに、そんなの、まるで…。
3 months ago