レジ袋の底に
押し潰された惣菜を見て
ボクがどれほど
楽をしているように見えるのか
世の中に
安い幸せなんてない
割引シールの裏には
誰にも見せない苦しみが
貼り付いたままだ
つまりキミが手に取る
半額の唐揚げも
ほんとは誰かの夕暮れを
抱えた重さでできている
それを知らずに口へ運ぶ時
人は少しだけ楽になれる
だから惣菜の袋を開けるたび
ボクらは無意識に
“生き延びた証”を食べてるんだ
なのにアイツは今日も
レジ袋を覗き込み
押し潰れた惣菜を拾い上げては
“これがお前の人生のかたちか”と笑ってる
その笑い声だけが
レジ袋の底に響いていた
――静かな狂気のまま
27 days ago