むかしむかし、とある豊かな王国に、仲の良い二人の兄弟王子がおりました。
二人は立派で心優しく、国中の人々から慕われていましたが、胸の奥には誰にも言えない悩みを抱えていました。
――彼らは、女性ではなく、男性にしか心をときめかせることができなかったのです。
ある日、厳格な父王が王子達を呼びつけました。
「そろそろ花嫁を決め、国を支えてゆかねばならぬぞ。」
王子達は顔を見合わせ、どう答えたものかと困り果ててしまいました。
「愛することのできぬ相手を妻にむかえるなど、俺にはできない」
「自分も、相手を幸せにできない結婚などできません…ですが」
18 days ago