王子稲荷の2月の凧市に公開される「額面著色鬼女図」は天保11(1840)年に奉納された大絵馬で、自らの腕を持つ茨木童子が描かれる。一条戻橋で渡辺綱に名刀髭切で斬り落とされた腕を後日、綱の伯母に化けて騙し取り返して逃げ去る場面。
王子稲荷のパトロンであった江戸の砂糖問屋組合によって奉納された。当時砂糖問屋組合は幕府によって砂糖の独占商権を奪われ、この1年後に天保の改革が始まり株仲間の解散が行われた。
砂糖問屋組合は利権の奪還の願いを、侍(幕府を暗喩)から奪われた腕を取り返した伝説の鬼、茨木童子に託したのである。
ダークヒーロー、奪還者としての鬼である。江戸人の諧謔と造詣の深さを感じる大絵馬である
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