「 #静かな爆弾」 #吉田修一(中央公論社) テレビ局に勤める若手ディレクター俊平は多忙な日々を送っている。そんなある日、公園で偶然,聴覚障害者の響子との出会う。互いに惹かれ合うが、音のない世界で生きる響子と音と情報に満ちた世界で生きる俊平との間には、見えない隔たりがあった。仕事の都合でハワイ旅行をキャンセルしたことをきっかけに、響子は突然、彼の前から姿を消してしまう。聴覚障害という“静かな世界”に生きる響子との交流は、俊平の価値観や生き方に対する根源的な問いを投げかける。彼女が消えたことで初めて、自分自身の傲慢さや身勝手さに気づく。「爆弾」はその問いの重さと、潜在していた感情の爆発力である。
28 days ago